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山中節

ハァー忘れしゃんすな山中道を 東ゃ松山 西ゃ薬師

ハァー送りましょうか送られましょうか せめて二天の橋までも

ハァー山が高こうて山中見えぬ 山中恋しや 山憎や

ハァー谷にゃ水音峰には嵐 あいの山中 湯の匂い

ハァーとんで行きたやあの山中へ 思いかけたる ほととぎす

ハァー飛んで行きたやこおろぎ茶屋へ 恋のかけ橋 二人連れ

ハァー笠を忘れて二天の橋で 西が曇れば 思い出す

ハァー恋のしがらみかわいやおつる 泣いて別れた 二天橋

ハァー夕べ習うた山中節も 今朝は別れの唄となる

ハァー主のお傍とこおろぎ橋は 離れともない 何時までも

ハァー桂清水で手ぬぐいひろた これも山中湯の流れ

ハァー薬師山から湯座屋を見れば シシが髪結て 身をやつす

ハァー桂地蔵さんにゃわしゃ恥ずかしい 別れ涙の 顔見せた

ハァーおまえ見染めた去年の五月 五月菖蒲の 湯の中で

ハァー浴衣肩にかけ戸板にもたれ 足でろの字を かくわいな

ハァー主のおそばとこおろぎ橋は 離れともないいつまでも

ハァー山中山代粟津の湯でも 惚れた病は治りゃせぬ

ハァー山が赤うなる木の葉が落ちる やがて船頭衆が ござるやら

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